(石塚 徹 著/郷土出版社 ¥1,680)
現代の浅間山麓を舞台にした四季の動物誌で、児童書ですが、大人の方からも多く反響をいただいています。「アマツバメの秘境」「昆虫少年のロマン」「キリギリスの家出」「河童のしわざ」など全20章。キーワードは「地域の自然の全体像」です。130枚のカラー写真を添えました。
“生きものの好きな人”にしか読まれない本を脱し、少しでも“それ以外の人”にも読んでほしいので、少年の成長を描く物語仕立てにしました。
キリギリスはなぜメスばかり捕れるのか。なぜ夜だけカブトムシが来る木と、昼間もカブトムシがいる木があるのか。カナブンは夜、どこにいるのか。ある種のガはなぜ年によって大発生するのか。ヒメシジミはなぜ大草原の一部だけに発生しているのか。コクムドリはなぜ群れたがり、群れはなぜ分裂したがるのか。アカハラが減ってしまったのはなぜか。
本書では、答えを出すことよりも、こうした素朴な疑問を持つこと自体が大切であると言っています。そして、小さな生きものたちの存在を認めることそのものが、豊かな生き方なのではないかと問いかけ、それが本書におけるもっとも重要な主張となっています。自由研究にも読書感想文にも活用していただけると思います。